栂海新道         

 がんばり

【日 時】  8月11日(土)〜16日(木)
【天 候】 コースタイムに併記
【参加者】  山下、村田 
 

 

【コース】

8月12日(日)晴れのち曇り 猿倉20℃、雪渓11℃、白馬山荘23℃
   6:30猿倉7:15発〜白馬尻小屋8:25〜雪渓8:45〜石室跡10:47〜避難小屋11:53〜頂上宿舎 
 13:00〜白馬山荘13:30
8月13日(月)雨・風強し 鉢ヶ岳東斜面14℃、朝日岳分岐20℃
 白馬山荘6:10〜白馬山頂6:22〜三国境6:56〜雪倉岳分岐7:33〜8:30避難小屋停滞・小屋発
 10:30〜雪倉岳11:00〜朝日岳分岐13:30〜朝日小屋15:30
8月14日(火)雨のち晴れ 朝日山頂18℃
 朝日小屋5:55〜朝日山頂6:40〜吹上のコル7:11〜照葉の池7:25〜黒岩平水場9:50〜黒岩 
 山11:00〜文子の池11:30〜サワガニ山12:42〜北俣の水場13:30〜犬ヶ岳14:50〜栂海避難
 小屋15:20  
8月15日(水)晴れ 気温計測なし
 栂海避難小屋5:45〜黄連山6:30〜黄連乗越(水場)6:40〜菊石山7:14〜下駒岳8:00〜白鳥 
 山9:45〜シキ割りの水場10:55〜坂田峠11:55〜尻高山12:50〜二本松峠13:55〜入道14:20
 〜15:30登山口

【報 告】
8月11日(土)
   京都駅八条口バス乗り場より高速バスに乗車。翌日5時30分白馬駅近く降車。
8月12日(日)
   
   バス降車口にて手配していたタクシーで猿倉へ。猿倉はではパトロールの方々が雪渓の状態や登山についての注意点を説明して頂いた。猿倉から暫く林道を歩いて白馬尻小屋に、大雪渓が顔を覗かせた。軽アイゼンを着けて雪渓に降りる。上空はガスが掛かり肌寒い、一枚Tシャツを着込んで雪渓を登る。蟻の行列を想像していたが意外と入山している人が少ない。左右に切り立った岩肌がむき出しの崖を注意しながら雪渓を登る。雪渓終着近いところの小さな島で休憩、気温を測ると11℃、相変わらず上空はガスが掛かり薄暗い。雪渓を登り終えると所々でパトロールの方が、落石を起こしていないか見張りをしていた。ありがとうございます。白馬頂上山荘が見えた頃、急登となり残る力を振り絞って頂上小屋に到着。見上げると今日の宿、白馬山荘そこに見えている。ここまで来れば一安心。毎度の事ながら初日、稜線に上がるまでは何回登っても身体に応えます。白馬山荘でザックを解いて先ずはビールで杯。
8月13日(月)
   5時の朝食を頂くために外に出ると視界悪し。ガスが風に吹かれて流れている。コンディション悪し。朝食後、気を取り直して先ずは白馬岳頂上を目指す。頂上は視界が悪く時間を記録して直ぐに通過、三国境に向けて下る。三国境手前で今年5月に遭難されたで有ろう地点で手を合わす。分岐から雪倉岳に向かう。高度を落とすと今まで大きな岩が手のひらサイズの石を敷き詰めたガレ道に変わる。周りは風が強くなり視界が効かない。どんどん高度を落とすと今度はバラストを敷き詰めたような小石となりハイ松が出現。雨が少し混ざってきた。気温は想ったほど低くない。風が強さを増してきた。ご婦人二人組が強風で白馬大池に避難すると引き返してきた。立っていられないほどではないが風が段々強くなる。鉢ヶ岳を巻くように東側斜面に入ると風が遮られ周りは色とりどりのお花畑と化す。鉢ヶ岳斜面を抜けた9時頃、正面から雨風を受け想うように進めない、一瞬にしてカッパがびしょ濡れ。取りあえず雪倉避難小屋目指して歩く。避難小屋には単独行2名がおられ私達3名は部屋の片隅を借りて一時待避、暫く様子を見る。待避中、何組かが強風の中、朝日小屋に向けて出発、私達も雨が小降りになった事を確かめて出発。雪倉岳斜面は登り下りとも風が強く吹き荒れて行く手を阻んだ。下山途中、雷鳥とすれ違う。雷鳥にとってはベストコンディションなのか。漸く、水平道にたどり着く。やれやれと想ったが水平道とは誰が付けたのかアップダウンが体力を奪う。途中、湿地帯で水芭蕉が咲いていた、まだこの時期に咲いているんだと少しセンチに。とにかく、何度も登り下りを繰り返し最後の急登を登り切ると左手の稜線上に赤い屋根が見えた。今日の宿泊先、朝日小屋。水平道に入ってから雨は上がったが空はねずみ色の雲に覆われたまま、太陽を見ることは無かった。宿の主人が「今日は80人の予定がキャンセルで40人になりました」と。布団1枚・一人ゆっくり寛ぐことが出来た。
            雪倉岳避難小屋にて
 8月14日(火)
   ここで田尻さんとお別れ。私達は栂海へ田尻さんは蓮華温泉に向かって下山。今日もガスが掛かり太陽は見えません。風は昨日に比べ随分弱くなった。カッパを着込んで朝日岳に向かう。朝日岳頂上は霧雨で周囲の景色は全く見えなかった。朝日岳から暫くなだらかな道が続く。時折、開けた湿地帯にはいるが花は少なかった。樹林の中に入るとぬかるんだ道が続き足下が滑る。今日は風が無い、湿度100%で蒸し暑い。水ばかりを飲んでしまう。朝日小屋で飲料水を調達したが水は茶色く濁っていた。小屋では『飲料水』として出していたので取りあえずザックに詰めて持ち歩いた。周りはなだらかな下りで水草が一面多い繁り、高地でこれだけの湿地帯を見たのは初めての経験、大変感動した。湿地帯が終わっていよいよ稜線歩き。周りに背丈ほどある木々が覆っているので風が通らない、ガスも消えて日差しが照りつけ気温は上がってきた、暑い。人だかりを見つけて近寄ると「北俣の水場」と書かれたプレートが目に入る。今日の栂海山荘と明日の行動に必要な水をここで確保。早速、涸れた沢を降りると右手に易しく湧き水が出ている。甘露。冷たくて美味しい。有るだけの容器に水を詰めて稜線に戻り暫し休憩。しかし、ここで幾ら待っても今宵の宿は来てくれないので意を決して出発。犬ヶ岳を必死の形相で登り切ると栂海山荘が突然出現。大きくて立派な避難小屋だ。私達は1階に一人だけエントリーしている部屋にザックを降ろす。小屋には都合21名が同宿。実はこの頃から朝日小屋から昼過ぎまで飲んでいた濁った飲料水が徐々にボデーブローとして効いて,水あたりです。二人とも食欲が落ちてお腹がぐるぐると言い出した。
 8月15日(水)
   栂海新道最終日。朝は晴れ渡り、朝日岳を振り返ると頂上はお椀を乗せた雲がかかっていたが山並みは綺麗なシルエットを浮かべていた。麓に目を落とすと町明かりが少し輝いていた。遠くに灯台の明かりも目に入る。6時前に小屋を出る。いきなりの急降下、身体がいまいち調子が出ない、お腹の具合が悪い。朝ご飯は無理矢理少し詰め込んだだけ。樹林帯の急な下りを過ぎて黄連山を登り返し菊石山に向かって稜線を進む。風が無いため今日も蒸し暑い。菊石山を再び下ると下駒岳の急登が待っていた。木の根と露岩の急登その先はガレ場。少し時間をかけて登り切るとブナ林が迎えてくれて視界が広がった。朝日小屋の女主人から「12時までに白鳥山に到着しなければ今日の下山は一端中止してください」と忠告を頂いている。下りで出来るだけ時間と距離を稼ぎ登りで体力の消耗を押さえてペースダウン。何度も休憩を取る。白鳥山を越えるまで二人に出会う。どちらにもシキ割水場の出具合を確認、しっかり湧き水が有ることを確かめ、気を取り直して白鳥山に向かう。白鳥山には9時45分到着。ようやく先が見えて来た。此処からが長く感じた。シキ割水場を過ぎると金時坂と称する急な下り道に入る。おおよそ400mを一気に下る。木の根がはみ出し粘土質の土が滑る。ロープ、梯子を何度も使って坂田峠に降りた。此処から泊まり駅までタクシーを呼べるがそうはいかない。尻高山に向かって進む。標高差は30m程だがだらだらと長い尾根道を歩く、樹林の中でやたら蒸し暑い。尻高山から鞍部の二本松峠までおりてもう一度入道山へ最後の登り返し。最後の急登。此処と言ったピークは無いが道標が立っていた。此処まで来ると後は下りだけ。親不知に向かって下る尾根は急に落ち込むと思って慎重に進んでいったが緩やかな下山道だった。植生も自然林から杉林に変わる。雪の重みを感じさせるような曲がりくねった杉が目に入る。ゴーゴーと車が通過する音が徐々に大きくなってきた、国道が目に入る。ゴール地点の親不知登山口が目に飛び込む。登山口に到着後、握手。村田さんお疲れの様子。海抜ゼロを目指そうと提案したが直ぐに却下。登山口の前に控えている親不知観光ホテルへ直行。生憎の天候で思った歩が出来なかったが何とか完走。恐るべし栂海新道でした。

 

(記)



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