右京労山2013年度夏山合宿
北アルプス『雲の平〜双六岳縦走』

“合宿山行”

【日 時】

 2013年8月1日(木)ヨル〜8月6日(火)

【天 候】

  8/2;雨後曇り,8/3;晴れ,8/4;小雨後曇り,8/5;雨,8/6;小雨後晴れ,

【例会目的】

 ・日頃培った技術を発揮して夏の3000峰に挑戦すると同時に、
  北アルプスの夏山を大いに楽しむ。
 ・北アルプスの夏山縦走を体験し、各自の登山技術の向上を図る。

【参加者】

  A隊 ; 男性3名,女性6名, B隊; 男性1名,女性3名, 計13名 (W=9,M= 4)

【コース】

  〔集合 ; 四条大宮,午後 10時00分〕
 ・8月1日(木) ; 京都/四条大宮(22;00)−<チャーターバス>−有峰/折立 〔車中泊〕
 ・8月2日(金) ; 折立(7;15)==三角点(9;30)==1904m(10;00)=
  =五光岩ベンチ(11;35)==2220m地点(12;00)==太郎平小屋(12;40) 〔泊〕
 ・8月3日(土) ; 太郎平小屋(6;50)==薬師沢小屋(8;40-9;05)==A沢出合(10;35)=
  =B沢出合(11;15)==C沢出合(12;25)==D沢出合(12;55)==E沢出合(13;30)=
  =高天原峠(14;45)==高天原山荘(15;55) 〔泊〕
 ・8月4日(日) ; 高天原山荘(6;40)==竜晶池(7;30-40)==高天原山荘(8;27)
  高天原山荘(8;55)==高天原峠(10;20)==測候所(12;24-45)=
  =雲の平山荘(13;40) 〔泊〕
 ・8月5日(月) ; 雲の平山荘(5;45)==祖父岳分岐(6;55)==日本庭園(7;15)=
  =黒部源流徒渉点(8;35)==三俣山荘(9;30-10;15)==三俣峠(11;14)=
  =三俣蓮華岳(11;35-43)==双六岳分岐(12;55)==中道分岐(13;40)=
  =双六小屋(14;00) 〔泊〕
 ・8月6日(火) ; 双六小屋(5;35)==花見平(6;45)==弓折乗越(7;00)=
  =鏡平山荘(7;46-8;00)==秩父沢出合(10;15-32)==ワサビ平小屋(11;55-12;10)=
  =新穂高温泉登山口(13;05)−<バス>−中崎山荘温泉(13;15-14;00)−
  −<チャーターバス>−京都(19;15) 〔解散〕


  1. 【報 告】
     <今年の夏山合宿> 2013年の右京労山『夏山合宿』Aは、北アルプス『雲の平〜双六岳縦走』で行いました。昨年は一寸登り応えのある「常念岳」に登り、「燕岳」から縦走して長い長いと言われる「長塀尾根」を歩き通す“長い距離の縦走”をテーマに取組み大きな成果を得ました。そして今年のテーマは山中4泊5日の“長期間の縦走山行”です。
     入るのに2日、出るのに2日と言われる「雲の平」をベースにして、「双六岳」までの縦走を計画しました。この山域の良さを満喫するのに「高天原」へ行くA隊、「雲の平」から雄大な山容を見せる「黒部五郎」を登るB隊゚と、2隊編成で行いました。
     <入山・一日目>  8月1日夜10時、四条大宮バスプールに集合。川辺副会長に見送られて出発。夜行の長距離ということでドライバーも二人体制で安心です。
     2日朝、有峰のゲート前に早々に到着。6時の開門を待って折立にむかう。折立の広い駐車場には多くの車が停まっている。外は小雨が降っている中を出発準備。
     今日は同一コースだが、A隊,B隊の2班編成で出発する。小雨の中、樹林帯のコースを進む。今日は今までの悪天が残るが、明日から高気圧の圏内に入り回復傾向にはいるということで、今朝の雨は想定内でメンバー全員雨の中でも明るく元気です。夏山シーズン真っ盛り、人気のコースということでこのルートも人が多いです。急ぐパーティーには道を譲って我々は着実に進む。
     “三角点”に来ると樹林帯を抜ける。ここは絶好の休憩ポイントで多くの人が休んでいる。我々も一息入れる。雨もほとんど止んで来ている。ここから先は草原の中の道だ。自然保護のために両側にロープが張ってある幅広い道を進む。展望が広がりだして気持ち良く歩ける。
     “五光岩ベンチ”とか“2196地点”などの休憩ポイントを経ながら、草原の中の気持の良いルートを進む。花も咲き乱れて「北アルプスに入ったなぁ!」と実感しながら楽しむ。B隊は早々に“コーヒーブレイク”を楽しんだようだ。
     なだらかな「太郎山」の横の高原状の所に立つ太郎平小屋に入る。渉外係と会計さんがテキパキと宿泊手続きを行う。今日は多くて、私達は大部屋で布団1枚に2人である。乾燥室に濡れた物を乾かし、寝床を確保した後は談話室でコーヒータイム、そして早速に生ビールを買って“カンパーイ”。明日の好天気を信じてゆっくりする。
     <二日目> 今日はA隊は「薬師沢小屋」から大東新道を「高天原」に入ります。B隊は「黒部五郎岳」を経て黒部五郎小屋へ。両隊とも今合宿のハイライトコースを行きます。
     幸い昨日の雨はあがって晴天の朝です。小屋の朝食を摂って、全員ウキウキと小屋前に集合してストレッチを行い、A隊,B隊の無線交信の打合せをした後出発です。小屋から出てすぐの分岐でA隊,B隊は、お互いエールを送って分かれます。
     A隊は少し台地状の所を過ぎて黒部川に向って下ります。そして川沿いの道を薬師沢小屋に向います。今日も多くのパーティーが来ています。追い抜きや対向をしながら進みます。
     薬師沢小屋では、多くの人が休んでいます。前のテラスも満員です。私達もトイレ休憩して、小屋の人に大東新道の情報を仕入れる。「増水もなく通行は問題無い」とのこと。ただ、小屋の前には「7月15日に大東新道のB沢付近で転落して死亡する事故」との張り紙が出ている。一緒の西山HCは大東新道を止めて雲の平経由で高天原に入ることに変更するとの話。私達も緊張感を持って取り組む必要がある。
     赤い大きな吊り橋を渡ってすぐ、雲の平へのルートを分けて川沿いの大東新道に入る。川岸の巻道やゴロゴロした大きな岩の上を歩いたりと、変化に富んだコースです。横は水量たっぷりの黒部川の流れ流れ、周りの景色もダイナミックで綺麗ですし、楽しいコースです。A沢出合も楽しく通過。B沢へのルート場でTさんがスリップして脛を打つ。但し少し切っただけで大したことなくホッとする。
     B沢分軌付近が最もの要注意の場所。鎖場が出てくる。鎖はしっかりしているし足場そんなに悪くはないが、下を川幅が狭くなった黒部川がゴーゴー流れる様は迫力がある。確かに何かで落ちればアウトだろうなぁと実感する。
     ガラガラに崩れたB沢を渡った後は、B沢の右岸沿いに凄い急斜面の登りが続く。100m位登ってハシゴを越すと、やっと傾斜の緩いトラバース道に入る。その後も登りを繰り返し、やっと尾根らしい所に出て一息つく。ここから急斜面の下りを覚悟していたが、そう大したことなくC沢に着く。かなり上部で渡るので沢の幅も狭く難なく徒渉出来る。
     このあとも登りと尾根の腹巻きを繰り返してD沢、E沢を越す。イメージとしては、黒部川沿いで各沢の出合を越して行くのかと思っていたが、C沢以降は黒部川から大きく離れてかなり高い所をトラバースしながら進むようだ。「E沢を越すと高天原峠は近い」となっていたが、その後もかなりの斜面を登った。やはり山が大きいのを実感する。登りと腹巻きを繰り返して雲の平から北に伸びる尾根にぶつかった所が高天原峠だ。今まで他のパーティーには全然出会わなかったが、峠には何パーティーかがいて懐かしい感じだ。我々のあとの大東新道からのパーティーも来た。
     一休みのあと、高天原への下りを急ぐ。ここもかなり悪い道で、小さいハシゴや大きな段差が続いている。下の流れの音が聞こえてくるとヤレヤレである。岩苔小谷の流れを渡ると木道が出て来て湿原も出てくる。ワタスゲに歓声が上がる。ニッコウキスゲが前面に広がる高天原山荘に着く。今回のハイライトコースを事故なく歩き通して、SLの山下さん、そしてメンバー全員と握手、握手。
     宿泊手続きを終えた後、早速に温泉に行く。約20分掛るが“秘湯の中の秘湯”の白濁した露天風呂に入って大満足です。一緒に入っている他のパーティーの人達とも交流して楽しい温泉でした。
     西山さんはさすがに遅く午後6時頃に到着。良く頑張ります。この夜も小屋が小さいことも有って超満杯で、一枚の布団に2人です。それでも楽しい気分で気持ち良くグッスリ寝ました。



     <三日目>  この日は、A隊はお疲れ休みの休養日で、「雲の平」までのショートコースです天候は細かい雨が降ったりやんだりしています。朝も9時出発です。元気な人は、高天原の中でも別世界のような“龍晶池”への散策。残ったメンバーは小屋の前のテラスでモーニングコーヒーを楽しみます。西山HCのメンバーも元気に出発していきました。
     私達も雨具を付けて出発。高天原峠までは、昨日下った道です。高天原の湿原と別れると、樹林の中のやや厳しいコースを登ります。峠からはしばらくはかなりの急登の悪路が続きます。小雨が降ったりやんだりしていた小雨もほとんど上り空も明るくなってきています。途中で会員の澄子さんと明峯の上田さんパーティーにバッタリ。何か懐かしい感じで賑やかにお喋りをして、お互いの健闘を祈る。
     樹林帯を抜け2438mの小ピークまで来ると、もう雲の平の一角でヤレヤレです。景色を楽しみながら進みます。雲の平山荘が直ぐ下に見える“コロナ測候所”の小ピークでゆっくりと昼食を摂った後、小屋に到着。雨も上がってゆっくりする。無線でやり取りしていたB隊も到着して小屋の前の広場でコーヒータイム。ゆっくり雲の平の景色を楽しむ。その後は談話室でビールを手にお互いの山を話合う。
     <四日目>  今日は、A隊,B隊一緒に三俣蓮華,双六岳から双六小屋までの3000m級の稜線を縦走です。残念ながら天気は悪い予報で、リーダーの皆さんと相談して、「祖父岳」,「鷲羽岳」経由のルートはパスして、ショートカットとなる日本庭園から黒部川源流を越して三俣山荘に出るコースをとることにした。それもできるだけ早く出発したいということで、5時45分出発。
     小雨が降ったりやんだりする中、カッパを来て出発。皆さん元気です。「祖父岳」の分岐を「天気が良ければなぁ!」と半分恨めしい気分で見送り、日本庭園へ向う。途中今年は雪が多いようで雪渓、雪田が多く残っている。またコバイケソウが物凄い群落を見せてくれる。10年に一度の大咲きだそうで、今回の山行中良く見ました。
     黒部源流への下りはガラガラ道の200m位の大下りです。地図で予測していましたが中々大変な下りです。登って来る登山者も「きついなぁ!」としんどがっています。黒部の源流に降り立ち徒渉です。源流といってもさすが黒部川です。雨の所為もあってかなりの急流です。トラロープ使って徒渉。ここからも小さい流れを2本程徒渉した後は、稜線に向っての登りです。この辺りが最も雨は強くなり、傾斜は大したことは無いが、とにかく早く小屋に逃げ込みたい気分です。
     三俣山荘は広い尾根に立っています。雨の中と言うことで多くの登山者が休憩しようと満員状態です。交渉係りのMさんが大活躍で、2Fの食堂で13人分の席を確保。お陰でカッパを脱いで暖かいうどんで人心地を付ける。ホッコリしてこれからの後半の縦走意欲がわいてきます。小屋の人にコース情報を聞くと「中道コースは結構長くなる。稜線コースの方が早いですよ」とのこと。
     これから雨の中の稜線の縦走に入るが、幸い気温がそんなに下っていない、皆もまずまず元気に歩いている、と言うことで、リーダーさん達と相談して「三俣蓮華岳」への登りに踏み出す。一部ガラガラしたところや急登もあるが、案外早く山頂着。
    次に「双六岳」への稜線を進む。斜面のトラバース状の所は良いが、まともに稜線上に出るとやはり風が強い。幸い気温がそんなに下っていないので助かるが、やはり動いていないと寒い。お花畑があったりして楽しい尾根歩きで、今回のルートのハイライトコースなのに雨にたたられてさっぱりです。
     「双六岳」の手前で、双六小屋へ直行コースへのルートをとる。「双六岳」にこだわって楽しみにしていたメンバーがいて気の毒ですが、今日は悪天候であり安全第一で小屋に向う。この分岐から直ぐかなと思っていたが、結構下って「双六小屋」に到着。ヤレヤレです。
     「双六小屋」は改装したてのような綺麗な小屋でした。混雑している割に私達は12名用の個室があてがわれラッキーです。やはりゆっくりできます。
     <下山・五日目>  今日は下山ですが、新穂高温泉までは結構長くてもう一頑張りが必要です。朝、曇り空ですが何か天候回復の兆候です。小雨が降ったり止んだりの天候ですので、カッパを着て「弓折岳」への縦走路を出発する。
     「弓折岳」分岐で稜線から別れ、鏡平への下りに入る。鏡平の小屋は池の畔に立つ小じんまりした綺麗な小屋です。登山ルート上から言っても便利で人気の小屋です。私達はトイレ休憩してこれからの長い下りに備えます。
     雨も止んで多くの登山者が行き交う小池新道を下ります。一部ガラ場もありますが良く整備されたルートです。何回か休憩をとり、登山者が多いので対向待ちや追い越し待ちをしながら下ると「秩父沢出合」です。ここまで来ると「ワサビ平小屋」までもう一息で、一寸ホッとします。ここでNさんが膝痛を発生。痛み止めの薬やシップで対処と荷物を皆に分散して対応する。この処置であとは順調に下れる様です。
     やっと新穂高からの林道に出て、あとは三々五々新穂高温泉に向います。「ワサビ平小屋」も小休止だけで通過して先を急ぎます。
     予定時間よりやや早い目の13時に新穂高温泉のゲートへ無事下山。皆で握手、ハイタッチで喜び合う。迎えのマイクロバスで温泉“中崎山荘”に向いここでゆっくり汗を流す。最高の気分です。汗臭いものを乾いた服に着替えると本当にスッキリです。
    食事はコンビニで弁当を買ってバスの中で食べることにして一路京都に向う。飲み物(アルコール)も用意して、“乾杯!”マイクロバスのお陰で皆でワイワイガヤガヤ、乾杯しながら帰れる。幸せなことです。
     <振返り>  今年の夏山合宿のテーマは、「中高年パーティーの長期間縦走」でした。残念ながら天候に恵まれず雨の日も有ったのですが、前夜発+山中4泊5日の縦走を事故なく、落後者を出すことなくほぼ予定コースを歩き通せたことは、会として大きな成果だと思います。少し難易度の高いルート「大東新道」や、希望が高かった「黒部五郎岳〜鷲羽岳〜祖父岳」の縦走もこなして、各メンバーにとっても成果があったと思います。
     パーティーとして、SLは先頭でルートファインディングとメンバーの歩きを見ながらペースを作り、メンバー同士は声を掛け合い、また腰痛のメンバーの荷物を皆で分け合うパーティーシップが発揮され、本当に気持の良い山行ができました。長期間の山行では疲れなどで我儘やいがみ合いが出ることもありますが、最後まで和気藹々で賑やかに、統制のとれたパーティーで山行ができたことは、本当に良かったと思います。
     『夏山合宿』という目的に向って例山行を繰り返すことで、チームワークが固まり、リーダーシップ,パーティーシップが高められたと思います。その意味でも、今年も『夏山合宿』は大きな成果を得られたのではないでしょうか。一部、腰痛や膝痛、及び体調不良を起こしたメンバーもありました。9月の“右京の山の集い”夏山合宿や夏山山行、例会への参加者が集まって皆で、振返りを行いたいと考えます。
     ここで皆が体験したこと、感想、反省点や今後の希望などを話合うことで、より大きな成果につながると思います。
    参加の皆さん、ご苦労さまでした。

                                                 以上


       

(記 石田)

 


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