<個人山行報告>
    「キリマンジャロ山行記録 」 
              吉田 雅敦   
海 外山行
【日 時】 2016年7月17日(日)〜7月27日(水)
【山行場所】  タンザニア キリマンジャロ(キボ峰5,895m) マチャメルート
【参加者】  Kさん(リーダー)、日本人参加者8名、現地ガイド7名、コック・ポーター10名程
【コースタイム】 7月17日(日)    成田空港集合18:40  成田空港発21:10
7月18日(月)    アジスアベバ=キリマンジャロ空港着12:55(以後現地時間)=車            にてモジ市内のホテル宿泊
7月19日(火)    ホテル出発8:00=車にて登山口・マチャメゲート(9:00〜10:30)         <曇り15℃>=昼食(13:30〜14:00)<晴れ>=マチャメキャン プ地          (3,010m)16:50<晴れ16℃>
7月20日(水)    起床6:00<4℃> 朝食7:00<5℃> マチャメキャンプ地出発            8:00=シラキャンプ地(3,845m)着14:15<15℃> 夕食 18:30
7月21日(木)    起床6:00<4℃> 朝食7:00 シラキャンプ地出発8:00<晴>=           ラバタワー(4,600m)(12:45〜13:40)<晴れ10℃>= バランコ            キャンプ地(3,960m)16:00<霧12℃>
7月22日(金)    起床6:00<晴れ2℃> 朝食7:00 バランコキャンプ地出8:00=           バランコピーク(4,233m)10:05<晴れ>=カランガ谷 12:10
          <曇り>=カランガキャンプ地12:50<曇り>
7月23日(土)    起床6:00 朝食7:00 カランガキャンプ地出発8:00=パラフキャン           プ地(4,640m)13:05<霧5℃> 夕食15:30  就寝 17:00 
          起床22:00 パラフキャンプ地出発23:00《アタック》
7月24日(日)    キボ峰山頂ステラポイント(5,730m)6:25〜6:45<晴れ―4℃>=          下山開始=パラフキャンプ地(9:00〜13:30)<霧9度>
          =ミニキャンプ地16:00
7月25日(月)    起床5:00 朝食6:00 ミニキャンプ地出発7:00=ムエカゲート             12:20<曇り20℃>=車にてモシ市内のホテル
7月26日(火)    モシ市内のホテル=キリマンジャロ空港発17:35
7月27日(水)    成田空港着20:20  解散
【報告と感想】    
 キリマンジャロ空港からモジ市内へ向かう途中、体に布を巻き付けたマサイ族の人を見かけると、アフリカへ来たなと実感してきました。この登 山では自分の寝袋、防寒着、趣向品など7kgまではポーターに預けられるので非常に楽です。
 マチャメルートは変化に富んだルートです。マチャメゲートから徐々に高度を上げながら、シラキャンプ地、ラバタワーまで行きます。そこから 高度を下げて、キボ峰の南面を左に見ながら麓を半周し、再度高度を上げてパラフキャンプ地に着きます。そして、キボ峰へアタックし、その後ム エカゲートへ向かって下山します。
 【19日】…マチャメゲートでナショナルパーク入山の 手続きで、小村氏とガイド、ポーターとの打ち合わせで時間がかかりました。この日はのんびりと樹林帯を歩いてマチャメキャンプ地へ着きまし た。以後、ポーターは重荷を背負って先に着き、我々のテント設営や食事の用意をしてくれることになります。彼らは50kg近い荷だったと思い ます。
 【20日】…急登な道になり岩場も出てきました。途 中、ガイドの“ボンゴ”と話しました。トップオフィースというという会社を経営しています。しかし、ガイド頭の“エリー”には頭が上がらない とのことです。僕が、「日本には『ボンゴ』という同じ名前の車がある。」と言って、運転の真似をすると、大変喜んでくれました。
 シラキャンプに着いてしばらくして、A氏が胃腸の働きが弱くなったとのことで、翌日“ネルソン”と下山することになりました。
 食事は、朝はおかゆ、昼食はランチパックに入ったリンゴ、鶏肉の唐揚げ、ジュース、ゆで卵など、夕食はライスにカレー、地元のスープ、スパ ゲッティー、フライ物、デザートはスイカ、マンゴー、バナナが出ました。
 【21日】…ラバタワーを目指してヒース帯(低木林) を登ります。左手にキリマンジャロ三山の一つシラ峰(3,962m)が見えました。ラバタワーまで来ると、最高峰のキボ峰の東面が目の前に見 えます。ここで昼食をとりました。周囲には4〜5隊のパーティーが休んでいました。ここに登るのは高所順応の目的もあります。
 昼食後は岩場の下りから始まり、砂礫の道を下りバランキャンプ地に着きました。
 【22日】…まずバランコフォールという岩場を右上し ます。3級程のやや難しい箇所もあり、ストックはリュックに入れて両手を使えるようにしました。2時間程で岩場を通過して、カランガピーク (4,233m)に登りました。
 それからアップダウンを繰り返し、カランガバレーという深い谷を越えてカランガキャンプ地に着きました。ここから見るキボ峰が一番素晴らし かったです。また、西にはキリマンジャロ三山の一つ、アルペン的なマウンジ峰も見え非常に広大な眺めでした。
 毎日水分は2ℓ以上飲んでいて高山病は出ませんでしたが、パルスオキシメーターで測ると血中酸素70代で、参加者の中ではかなり低かったで す。Bさんが元気がなくなり咳込むようになりました。ダイアモックスを服用して一晩様子をみることにしました。しかし、翌朝になっても咳が止 まりませんでした。小村氏と相談して下山することになりました。二人にとっては苦渋の決断だったと思います。
 【23日〜24日】…パラフキャンプ地まで登り、夕食 を早くとり、アタックの準備をしました。ヘッドランプの電池を替え、羽毛服のポケットには菓子類を詰めました。
 5時間仮眠をとって、23時に出発しました。晴れていて風もなく良い天候でした。最初はなだらかな登りでした。30分に一度、体が冷え切ら ない程度の休憩をとりました。
 これからつづら折りの道になります。気温は―6℃〜―7℃位だったでしょうか。厚いフリースの手袋をしていても指先がこごえました。登って いるうちにどうも前に進むのに苦労するようになりました。平衡感覚がなくなってきました。まっすぐ立っているつもりが、後ろへよろけたり、歩 いていても左右に倒れて岩にぶつかったりしました。“アルフェンス”が側に来て支えてくれました。難儀しながら登っていると、上から“ボン ゴ”と“ヤシン”も来て前後についてくれました。
 やっとつづら折りの道が終わり、最後の急登になった頃夜が明けてきて、平衡感覚が徐々に戻ってきました。本隊からはかなり遅れて山頂のステ ラポイントに着きました。全員の集合写真を撮影後、余力のある5名とリーダー達は最高点ウルフポイントに向かいました。僕は疲れていたし、さ らに進めばどんな症状が出るのか不安なので、休憩して下山することにしました。
 下りでは平衡感覚はほとんど戻っていました。“ボンゴ”、“ヤシン”と伴にパラフキャンプに着きました。1時間半程してウルフピークへ行っ たメンバーも次々と帰って来ました。各自荷物を整理してからさらにムエカキャンプ地(3,100m)まで下る予定でしたが、メンバーが疲労し ていたので、小村氏の判断で途中のミニキャンプ地に泊まることになりました。
 【25日】…ムエカゲートに近づくにつれ、植生が日本 のような森林になると不思議と気持ちが落ち着きます。ムエカゲートに着くと、Bさんが元気になっていて待ってくれていました。
 登頂証明書をガイド頭の“エリー”から一人ずついただきました。つづら折りの登りで助けてくれた“アルフェンス”に改めて礼を言い、“ボン ゴ”“ヤシン”の3名に100ドル程謝礼しました。別れに際して、ガイド、ポーターがキリマンジャロの歌と踊りを披露して祝ってくれました。
 モン市内のホテルに帰りA氏と再会しました。部屋に入りベッドの上で大の字になると、徐々に登り終えた達成感が湧いてきました。
 最後に、小村リーダー、献身的に支えてくれた現地ガイド、ポーターの方々に感謝します。
 高山病予防については、専門書に書いてある通りだと思います。私なりに思うのは、水分は一度に飲まずにこまめに補給すること。一度に飲んで も尿としてすぐ出てしまうと思います。歩きながらでも水分が飲めるCAMELBAKなどが良いでしょう。また、食事は腹七分目に控え、時間を かけ十分咀嚼すること。胃腸の負担を軽減するためです。
 また、ストレスを溜めないでリラックスすること。これが一番難しいです。今回のように見知らぬ者が集まったパーティーで、すぐ他人と打ち解 けて思うことを何でも話せる性格の人が、概してパルオキシメーターの値が高く最後まで元気な様です。参加者のうち3名の女性はそれほど登山経 験はないようでしたが、食事中もよく話し、笑い、元気で最高峰まで行けました。だから、口で山を登ると言われる右京の女性陣は高所登山に向い ているかもしれません。

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                                <良い天気に恵まれ登山開始>

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                     <キリマンジャロをバック に>

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                <キリマンジャロの山頂で登頂の記念 写真>

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                     <キャンプ地の並んだテン ト>

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                <登頂証明書をもらって、喜びのメン バー達>


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